あなたの会社で、こんな経験はありませんか?
- 「DXを加速しよう!」とソリューションのライセンスを契約したのに、社員は誰も使わない。
- Teamsで共同作業できるはずなのに、メール添付で資料を送り合う日々。
- Excel管理でバージョンが乱れ、混乱ばかり。
- 会議では紙資料の山。「DXって何から始めれば?」と頭を抱える…。
DX Change Labへようこそ!元コンサルタントのHiro Transformが、デジタルトランスフォーメーション(DX)とチェンジマネジメントのノウハウを初心者にもわかりやすく発信します。
この記事では、DXが思うように進まない理由を「人」の観点から掘り下げ、「チェンジマネジメント」という考え方がどのように役立つのかを解説します。
なぜDXは失敗するのか?変革が進まない理由
多くのDXプロジェクトが思うような成果を出せない理由は、技術よりも「人」に関わる課題が中心です。以下のような調査結果がそれを裏付けています:
- KPMG調査(2023):米国テクノロジー幹部400人への調査によると、DX失敗の理由は:
- 協業の崩壊(47%)
- スキルギャップ(41%)
- リスク回避型の企業文化(40%)
- McKinseyインタビュー(2022):失敗要因として:
- 明確な目標の欠如
- 説得力のある目的の欠如
- 実行力不足
- 成果の持続性不足
つまり、技術だけでなく「人の理解・納得・行動変容」がなければDXは定着しません。これらの課題は、日本企業でも顕著です。たとえば、部門間の「サイロ」や変化への抵抗が、DXの足かせに。
チェンジマネジメントは、これらの「人の壁」を突破する鍵です。
チェンジマネジメントとは? 初心者向けに解説
チェンジマネジメント(Change Management)とは、組織の変化に向けて、人々がスムーズに適応できるよう準備・支援する取り組みです。
例:
製造業でAIツールを導入したケースでは、社員が「仕事を奪われるのでは」と不安に。チェンジマネジメントの手法を使って、AIの役割やメリットを丁寧に伝え、トレーニングと対話を通じて不安を解消。結果としてAI活用が進みました。。
例:
製造業でAIツールを導入したケースでは、社員が「仕事を奪われるのでは」と不安に。チェンジマネジメントの手法を使って、AIの役割やメリットを丁寧に伝え、トレーニングと対話を通じて不安を解消。結果としてAI活用が進みました。
DXにチェンジマネジメントが必要な5つの理由
- 成功率アップ:抵抗や不安を減らし、スムーズな導入を支援。
- 投資対効果(ROI)の向上:技術は使われて初めて価値を発揮。人の行動変容が鍵。
- 業務混乱の最小化:事前準備で、変化による混乱を軽減。
- 変化対応力の強化:VUCA時代で、継続的な適応力を組織に。
- エンゲージメントの向上:社員を巻き込み、成功体験でモチベーションアップ。
代表的なチェンジマネジメント・フレームワーク
チェンジマネジメントの代表的なフレームワーク、Kotter’s 8-StepとADKARを紹介します。詳細は次回の記事「5つのフレームワーク比較」で深掘りしますが、ここではDXでの活用例を交えて初心者向けに解説します。
Kotter’s 8-Step Model
ジョン・P・コッターが提唱した8段階のプロセス。大規模なDXプロジェクトに適しています。
- 危機感の共有:DXの必要性を伝え、危機感を共有。
例:競合のデジタル化事例を提示し、「今変わらなければ後れを取る」と説明。 - 変革チームの構築:経営陣や事業リーダー・ITリーダーでチームを構築。
- ビジョンと戦略の策定:明確な目標(例: 「データ駆動経営の実現」)を設定。
- ビジョンの浸透:全社員にビジョンを繰り返し共有。
- 自主性の促進:社員が行動できる環境(例: トレーニング、ツール)を整備。
- 短期的な成果の創出・共有:小さな成功(例: 売上データ分析の改善)を称える。
- 改善の継続および進捗の測定:PDCAサイクルで改善を継続。
- 成果の定着:新プロセスを組織文化に組み込む。
金融機関がSAP S/4HANA(クラウドERP)を導入。標準化の必要性を説明し、事前研修で業務影響を最小化。初期成果(経理業務の効率アップ20%向上)を共有し、6カ月で全社定着。
ADKARモデル
Prosciが開発した、個人の変革に焦点を当てたモデル。個人の心理を重視します。
- Awareness(認識):なぜ変わる必要があるか
- Desire(意欲):変わるとどんなベネフィットがあるか
- Knowledge(知識):トレーニングでスキルを身に着ける
- Ability(能力):実践でスキルを実用化。
- Reinforcement(強化):フィードバックや表彰で定着。
社員のデジタルのリスキリング:業務効率化の必要性を実感(Awareness)、生成AI講座を受講(Knowledge)、業務で実践・共有(Ability)、上司のフィードバックで定着(Reinforcement)。2カ月でレポート作成時間を50%削減
補足:Kotterは組織全体、ADKARは個人に強い。日本企業では、両方を組み合わせ、部門間の抵抗やスキルギャップに対応するのが効果的です。
DX推進初心者がまず始める3つのステップ
DX推進を任されたけど「何から始めれば?」という方へ、チェンジマネジメントの視点から、最初に取り組む3ステップを紹介します。
- 「なぜ変わるのか?」を伝える
DXの背景や目的を、現場が共感しやすいストーリーで説明しましょう。 - 関係者を早期に巻き込む
経営陣、IT部門、現場リーダーなど、影響を受ける人たちを早めに関与させて、共に進める体制を築きます。 - 継続的な対話の場をつくる
定期的な説明会や進捗共有、気軽に相談できるチャットなど、双方向のコミュニケーションの仕組みがカギです。
これらはDXの土台となる行動です。
しかし、VUCA時代の複雑な変革には、さらに具体的なフレームワークやアクションが必要。今後の記事の「VUCA時代を勝ち抜くアクション」で、日本企業向けの実践ノウハウを詳しく解説します。
まとめ:DXは“人の変化”から始まる
チェンジマネジメントは、DXの「人の側面」を動かす鍵です。技術導入だけでは変革は半分止まり!社員の不安をほぐし、共感を引き出し、行動を後押しすることで、DXが真の成果を生みます。
DX推進者の皆さん、チェンジマネジメントの基礎から始めましょう! DX Change Labは、あなたのDXの旅を全力応援!
著者: Hiro|DX Change Lab
元人事・経営コンサルタント。現在は事業会社でチェンジマネジメントを担当し、DX推進を支援。現場目線で、DXの壁をシンプルに乗り越える実践ノウハウを発信しています。
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