「DXを進めたいけれど、どのチェンジマネジメント手法を使えばいいのかわからない…」
そんな悩みを抱えていませんか?
DX成功には、単なる技術導入だけでなく、「人」と「組織」の変革が不可欠。そこでカギを握るのがチェンジマネジメントです。
前回の記事「DXがうまく進まないのはなぜ?チェンジマネジメントの基本」では、変革推進の重要性と、Kotter・ADKARといった代表的なフレームワークを初心者向けに紹介しました。
しかし、いざ実践しようとすると…
- 「どのフレームワークを選べばいい?」
- 「それぞれ、どう違うの?」 と戸惑う方も多いはず。
本記事では、そんなお悩みを持つDX推進初心者の方に向けて、
代表的な5つのチェンジマネジメント・フレームワーク(Kotter、ADKAR、Lewin、McKinsey 7S、Prosci 3-Phase)をわかりやすく比較整理しました。
チェンジマネジメント・フレームワークとは?
チェンジマネジメント・フレームワークとは、変化をどのように進めるかをガイドする「地図」のようなものです。以下のような点で違いがあります:
- 対象:個人?組織?
- ステップ数:3段階?8ステップ?
- アプローチ:段階的?全体設計型?
自社の課題やプロジェクトの規模に応じて選んだり、組み合わせたりするのがコツです。
代表的な5つのフレームワーク
フレームワークの比較表
フレームワーク | 特徴 | 適しているケース | キーワード |
---|---|---|---|
Kotter 8-Step | 組織全体を動かす段階的アプローチ | 大規模DX、文化改革 | 危機感、ビジョン、定着 |
ADKAR | 個人の心理変化にフォーカス | スキル変革、現場主導の改革 | 意識→意欲→知識→実行→強化 |
Lewin 3-Phase | シンプルな3段階モデル | 小規模改革、初学者の導入に最適 | 解凍→変化→再凍結 |
McKinsey 7S | 組織構造を7要素から見直す | 組織設計の見直しが必要なとき | 戦略・構造・スキルなど |
Prosci 3-Phase | 組織と個人の両面を重視 | プロジェクトに合わせた柔軟設計 | 準備→実行→定着 |
各フレームワークの特徴と活用ポイント
【Kotter 8-Step】:トップダウン型の変革を加速
- 危機感の共有
- 変革チームの構築
- ビジョンと戦略の策定
- ビジョンの浸透
- 自主性の促進
- 短期成果の創出
- 改善の継続
- 変化の定着
経営層主導で組織を動かす大規模DXに最適。McKinsey 7SやADKARと組み合わせると効果的。DX適用例は前回の金融機関のクラウドERP導入事例を参照ください。
【ADKAR】:個人の変化を段階的にサポート
- Awareness(認識)→Desire(意欲)→Knowledge(知識)→Ability(実行)→Reinforcement(強化)
ポイント:現場主導のスキル変革やリスキリングに最適。Prosci 3-Phaseとの併用も効果的。前回の例では、生成AIのリスキリングに活用しました。
【Lewin 3-Phase】:シンプルな氷の変化モデル
- 解凍(Unfreeze):現状に疑問を持たせ、変化の必要性を認識
- 変化(Change):新しい行動や仕組みにトライ
- 再凍結(Refreeze):変化を定着させる(制度化、ルール化)
ポイント:小規模な改革や初めての導入に最適。心理的ハードルを下げるシンプルさが強み。紙業務の廃止などにも適用できます。
【McKinsey 7S】:全体最適を見据えた組織改革
- Strategy, Structure, Systems(ハード要素)
- Shared Values, Skills, Style, Staff(ソフト要素)
ポイント:部門横断的なDXや、組織設計の見直しに強い。Kotterなどと組み合わせると効果的。
【Prosci 3-Phase】:個人と組織を両輪で支援
- Phase 1 – Prepare Approach(アプローチの準備)
- Phase 2 – Manage Change(変革のマネジメント)
- Phase 3 – Sustain Outcomes(成果の持続)
ポイント:PMO主導の全社プロジェクトにぴったり。
どう選ぶ?あなたのDXに合った手法はこれ!
シチュエーション | おすすめフレームワーク |
---|---|
小さく始めたい | Lewin |
社員の意識改革 | ADKAR |
トップダウン改革 | Kotter |
組織構造ごと見直したい | McKinsey 7S |
プロジェクトマネジメントと統合的に進めたい | Prosci 3-Phase |
実際のDXでは、KotterやADKARなど複数のフレームワークを組み合わせて柔軟に対応するのが一般的です。次回の記事で解説するVUCA時代では、複雑な変革を成功させるために、7つのアクションを統合した実践的なアプローチが不可欠。詳しくはこちらでチェック
まとめ:手法よりも「変化に向き合う姿勢」がカギ
5つのフレームワークを比較し、それぞれの強みと使いどころを解説しました。DX成功の鍵は、適切なフレームワークを選び、組織と個人のバランスを取ること。特に日本企業では、変化への抵抗や部門間のサイロを乗り越えるために、対話と明確なビジョンが不可欠です。
DX推進者の皆さん、まずは自社の課題を洗い出し、基本フレームワークを選択し、ほかのフレームワークの要素も取り入れつつ、実践してみましょう。
次回の記事では、さらに「VUCA時代に勝つための最新アクション」を解説予定!
ぜひ、シリーズで体系的に学び、自社DXを成功に導きましょう。
あなたのDXの旅を、DX Change Labがサポートします!
著者: Hiro|DX Change Lab
元人事・経営コンサルタント。現在は事業会社でチェンジマネジメントを担当し、DX推進を支援。現場目線で、DXの壁をシンプルに乗り越える実践ノウハウを発信しています。
Image credit: https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/
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